秋田県五城目町にある10代のためのデジタルテクノロジー拠点

レポート

みそのテック202505~202510 おばけカフェ

2025.12.19 |

この記事を書いた人 : まつうら・まこと

    ハイラボ × 聖園天使園 × Arc & Beyond

    はじめに:みそのテックとは

    ハイラボのまっつんです。
    「みそのテック」は、児童養護施設「聖園天使園」とハイラボ、
    一般社団法人Arc & Beyondとの協働によって生まれた
    Earn to Learn(学びが稼ぎになる)プログラムです。

    誕生の背景

    きっかけは2024年5月のハイラボオープニング。
    一般社団法人Arc & Beyondの萩原さんが五城目町に
    遊びに来てくれたことが始まりでした。
    その後、ETIC.も関わる「Beyondカンファレンス」での再会を経て、
    2024年度の経済産業省の「未来の教室」事業において、
    G-experienceが秋田県側のコーディネーターとして伴走することになりました。

    その活動の中で、社会福祉法人みそのさんと運命的な出会いを果たします。
    その後も継続してTDKまちの企業寮ZiNOBAなどで児童養護施設の子どもたちを
    対象にしたワークショップを実施。
    そこで生まれた「施設の子どもたちにも、ハイラボのような学びを届けたい」
    という想いが形になり、「みその+テクノロジー = みそのテック」が誕生しました。

    運営は2025年5月から10月までを第1クールとして本格的にスタート。
    本レポートでは、10月の「おばけカフェ」成功に至るまでの、
    子どもたちの挑戦の記録をまとめます。


    【第1フェーズ:あそび】

    2025年6月14日:テクノロジーで「あそび」を拡張する

    最初のステップは「学び」ではなく「あそび」から始まりました。
    いきなり難しいプログラミングを教えるのではなく、
    「楽しそう!」「何かできそう!」と思ってもらうことを重視しました。
    また、この日にはじめて、聖園天使園の「クララ2F」
    というスペースを活用することになりました。

    • 活動内容: 玉入れのカゴ、ブロック、日本人形、ティンパニなど、
      多種多様なアイテムが登場 。

    • テックの要素: 遊びの裏側にMESHなどのテクノロジーを忍ばせ、
      「遊びをプロデュースする」体験を提供 。

    • 成果: 子どもたちと「人対人」の関係をつくり、
      前のめりになる子を見つけることができました 。


    【第2フェーズ:構想・チームビルディング】

    2025年7月29日:遊びから「プロジェクト」へ

    6月の活動を経て、7月29日にはホールに集まり、
    子どもたちと一緒に具体的な企画会議を行いました 。
    ここでは、ただ遊ぶだけではなく「自分たちの力で未来をつくる」
    ための目標設定が行われました。

    目標の設定

    • 長期目標: 創ったものをお金に変え、それを活用する体験を得る

      (自分の未来は自分でつくれることの実感)。

    • 中期目標:10月頃をターゲットに「おばけカフェ」を進める 。

    • 短期目標: 「イベント企画」「グッズ作成」「空間演出(音声映像)」の3チーム体制を確立する 。

    目標の共有

    この日の議論で特に重要だったのは、
    「福祉としてではなく、価値として買ってもらう」
    「お金をもらう=人に喜んでもらう価値として受け取る」という考え方を
    子どもたちと共有できたことです。

    Arc & Beyond(萩原さん)と社会福祉法人みその(冨樫さん)による対話により、
    「子どもたちが作ったものを"支援"として買ってもらうのではなく、
    "欲しい"と思ってもらえるクオリティを目指す(=マーケットプレイス構想)」
    という共通認識が生まれました。
    そして、(制作クオリティのレベルはもちろん少しずつかもしれないが)
    地域の一次産業(お米の袋のデザイン等)との連携も視野に入れ、
    子どもたちがクリエイターとして社会と関わるビジョンを描きました。

    環境を整備

    活動拠点となる「クララ2F」についても、エアコンや照明工事の予算確保、
    デジタルファブリケーション機材の導入など、本格的な「制作スタジオ」への
    改装計画が進行しました。
    また、前回生まれた多様なアイデア(料理、音楽、探検など)を、
    「おばけカフェ」という一つの大きなプロジェクトに集約し、
    全員が役割を持って関われる体制を整えました 。


    【第3フェーズ:きかく・つくる】
    2025年8月31日:第3回「なにかしたい部」始動

    7月末の構想決定を受け、プロジェクトは本格的な「つくる」フェーズへと移行しました。
    目指すは、子どもたち自身が運営するイベントの開催です。
    各専門チームに分かれ、具体的な制作がスタートしました。

    • ①企画チーム: おばけ屋敷カフェの全体ストーリーや運営フローを設計 。

    • ②ものづくりチーム: 3Dプリンターやレーザーカッターを駆使し、
      販売用のオリジナルグッズや装飾を制作 。

    • ③空間演出チーム: MESHや音響機材を使い、来場者を驚かせ、
      楽しませるための仕掛け(ギミック)づくり 。

    夏休みの活動成果を確認し合いながら、秋の本番に向けた準備を加速させました。


    【第4フェーズ:稼ぐ・価値に変える】
    2025年10月19日:MISONO Tech「おばけカフェ」開店!

    そして迎えた10月19日。これまでの準備の集大成として
    「おばけカフェ」をオープンしました。 この日の合言葉は
    「今日の時間は全部お仕事です」 。単なるごっこ遊びではなく、
    お客さんをおもてなしし、対価を得るビジネス体験です。

    当日の運営

    • 子ども40人、大人50人以上が参加する大規模なイベントとなりました 。
      (近隣の児童養護施設からスタッフや子どもたちが大勢来てくれました)

    • 企画、ものづくり、空間演出の各チームが連携し、レジ、案内、接客、
      キッチンなどの役割をシフト制で完遂しました 。

    • 子どもたちは「みそのテック」のスタッフとして働き、
      お客様を楽しませることに注力しました 。

    成果と「Earn to Learn」の実践

    イベント終了後、子どもたちと一緒に収支報告を行いました。
    自分たちの働きがどれだけの価値を生んだのか、数字で実感する瞬間です。

    • 売上: 35,950円

    • 原価: 15,904円

    • 利益: 20,846円

    2万円を超える利益を出し、子どもたちは「自分たちの好きなこと、
    得意なこと(Techやものづくり)」が、誰かに喜ばれ、社会的な価値(お金)に
    なることを体験しました。 振り返りではKPT(Keep, Problem, Try)を実施し 、
    次回の活動、さらにはこの利益をどう使うか(投資など)についての議論も始まりました。


    まとめ

    5月から始まったみそのテックは、半年間で「遊び」から「仕事」へと進化しました。
    Arc & Beyondや聖園天使園との出会いから始まったこのプロジェクトは、
    テクノロジーを媒介にして、子どもたちの自己効力感と社会との繋がりを
    確実に育んでいます。

    今後もハイラボは、聖園天使園、Arc & Beyondと共に、
    子どもたちの「やりたい!」を「できた!」「稼げた!」に変え、
    機会を自ら作り出し機会によって自らを変えていく
    子どもたちをはぐくむ挑戦を続けていきます。

    この記事を書いた人

    まつうら・まこと

    松浦 真

    ちくわの磯辺揚げとシュークリームが好きです。得意なことは、人前で話すこと。苦手なことは、細かいことです。任天堂のファミリーベーシックでプログラミングをはじめ、電子音楽が好きです。家のDIYも好きで、電工二種の免許を持ち、太陽光パネルを自分で屋根につけて給電しています。電気、工作、そこにつながるプログラミング関係に関心ある方は相談してみてくださいね。

    運営

    住所

    秋田県南秋田郡五城目町下夕町59-6(ただのあそび場内)

    秋田県五城目町にある10代のためのデジタルテクノロジー拠点