レポート
7/24-25 新屋高校デジタル探究ワークショップ
7月24日~25日の両日、朝9時~16時に約14名~22名
(部活などで途中参加の生徒もいたため)の高校2年生に
向けてワークショップを実施しました。
内容としては、国際バカロレアプログラムで活用されている
UbD(Understanding by Design)※1と
CBCI(Concept-Based Curriculum and Instruction)※2を用いた探究学習
+MESH ※3 を用いたデジタル探究学習を体験する2日間のプログラムを実施しました。
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※1 UbD(Understanding by Design)とは
UbDは、アメリカの教育学者、グラント・ウィギンズとジェイ・マクタイが
提唱した教育設計モデルです。従来の教育のように、まず教材ありきで学習内容を決め、
最後に成果を測るのではなく、まず「どのような理解を生徒に獲得させたいのか」
という目標を明確にし、それを達成するための学習活動や評価方法を設計します。
演繹的アプローチになります。
※2 CBCI(Concept-Based Curriculum and Instruction)とは
CBCIは、概念ベースのカリキュラムと指導のことです。
これは、生徒が事実やスキルを単に記憶するだけでなく、
概念や概念的な理解を深めることに重点を置いた教育モデルです。
最終的な目標は、学習内容を新しい状況に「引き出し、転移」することです。
CBCIは、帰納的教授法を取り入れ、生徒が質問を生成し、
思考を導く学習活動に参加し、重要な概念を発見することを促します。
※3 MESHとは
ソニーのMESH(メッシュ)とは、様々な機能を持つ小型のIoTブロックです。
プログラミングの知識がなくても、身の回りのものと組み合わせて、
アイデアを形にできるツールです
https://meshprj.com/jp/
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今回は、知識を覚えるだけでなく、社会課題を見つけて解決に向けたプロセスを
デザインする力を養うことが目的です。また、途中でMESHを活用した
デジタル探究を行うことで、今回提示した児童養護施設「聖園天使園」の
子どもたちにどのようにすればデジタルテクノロジーをさらに活用できるのか
という視点からも、多様な事業提案をしてもらいました。
その結果、生徒たちが2日間で60枚以上の模造紙を使って
(過去最多です!用紙の枚数は試行錯誤の量に比例するので素晴らしかったです!)
UbDとCBCIを活用して探究と表現を追求してくれました。

2日間の流れを説明していきます。
このときはまだみな普段の教室のように全員が正面を向いて座っています。

その後、聖園天使園の説明をしていきます。秋田で生まれた社会福祉法人みそのでは、
児童養護施設や児童家庭支援センターなど、様々な社会的養護の取り組みを行っています。
今回のテーマは、その子どもたちにデジタル体験を行ってもらうことで、
園内の生活に子どもたち自身の主体性が生まれていくには
どのようにすればよいのかを一人ひとりの高校生が考えていくというものです。

その後、UbDの手法を解説していきます。UbDがなぜ生まれてきたのか、
その歴史的背景や逆向き設計の話を聞くのも高校生は初めてなので、
身近なテーマに基づいて話をしていきます。
そして、このデジタル探究自体が、
「テストのために覚えたけど、終わったら忘れちゃった…」
「この勉強、何のためにやってるんだろう?」
という学習のジレンマから生徒自身が抜け出すための構造を持っています。
そのためには、生徒自らが学習者でありながら、教師目線に立ち
その学習構造を俯瞰することで、探究のラーニングプロセス自体を
自ら生成できる能力を持つことが重要と考えています。
このあたりから、生徒自身がそれぞれの場所で作業を始め、
講師はファシリテーターとして学びを生徒自身のものへと変えていきました。
今回は、まず生徒それぞれの今探究してみたいことをそれぞれUbDとして
書いていくことを最初にやっていきました。

初めてのUbDに苦戦しながらも、だんだんこうやって書けばよいのかと
それぞれがお互いにサポートし合い気付きながら、ワークショップは進んでいきます。
自分自身が考えている探究テーマだからこそ、一人ひとりが自分自身に向き合う中で
学校の仕組みや校則、生徒会による主体的なルールメイキングなどに
目を向けている生徒が多くおり、一人ひとりがまとめたUbDをポスターセッション形式で
お互いに発表していきます。
その後は、児童養護施設「聖園天使園」の子どもたちxデジタルテクノロジー
によって生み出される可能性について、様々な提案を一人ひとりに
Big Pictureとして書いてもらいました。ここまでが1日目です。
2日目は、CBCIからスタートしていきます。
CBCIが生まれた背景を説明した後に、CBCIの概念と概念を強い動詞で
結びつけることで、どのような概念レンズを生み出すことができるか。
その概念レンズから、自分たちのBig Pictureを見直すと何が再び見えるのか。
それらを一人ずつ考えながら、周りのメンバーとも対話していきます。
また、CBCIの一般化(generalization)過程においてUbDによる
演繹的な手法だけでなく、CBCIによる概念化や一般化によって
帰納的に物事を考えていくことも重要になっていきます。
この具体と抽象を繰り返すことで、探究はより高次元な学びへと変化していきます。

概念レンズを使うことで本質的な問いに向き合うことができ、
生徒自身の学びがより深まっていきました。

こうやって学びを行うと、一方通行の学びではなく、そもそも
本当に自分が問いたいテーマや個人的な問いも同時に生まれていきます。
そうすると、教科の枠を超えて、学問分野を横断する学びへと発展します。
それは大学で行われるような学際的な学びとなり
時間と空間の制約を超えた本質的な問いにまで転移していきます。

その後は、MESHを使った作品づくりも同時に行っていきます。
ブロックを組み合わせて身近なプログラミングを体験することで、
聖園天使園の子どもたちにも体験してもらいやすい中身をより具体的に
イメージすることができました。探究を行いながら、
実践と組み合わせていくことでより実現可能なアイデアにもつながっていきます。
2日目の終了が近づいています。
最初にテーマを出してくださった聖園天使園の冨樫さんにも
再びお越しいただき発表をシェアしていきます。

2日目の最後の振り返りもそれぞれの学びをシェアしながら、
一人ひとりが自分で考えた学習プロセスがとても伝わる素晴らしいものでした。
発表には冨樫さんからも1つ1つ丁寧なフィードバックが行われました。

この探究の発表には1つの正しい答えはありません。
ただ、発表に対するフィードバックを通じて、生徒自身が
この2日間で感じたことをシェアすると、
自然と会場全体が対話しているような場が生まれていきました。
生徒一人ひとりが発表後に2日間のワークショップを振り返りました。
例えば、次のようなコメントがありました。
「2日間探究を考え抜いたからこそ良い疲労感がある」
「普段の授業では使ったことのない頭を使った気がする」
「UbDとCBCIは難しかったがこういう試行錯誤を繰り返して
教科の枠を超える学びは面白い」
今回参加した生徒は全員、新屋高校のデジタル探究コースに所属していました。
だからこそ、デジタルを使うこと自体を目的とせず、
探究のための手段としてテクノロジーを活用する姿勢が大切です。
そして、その探究は各教科の学びを横断し、本質的な問いを
自ら掘り下げていくものであるべきだと、改めて感じました。

新屋高校で行った2日間の探究ワークショップは
生徒たちの頑張りもあって本当に素晴らしいものでした。
新屋高校でのデジタル探究サマーキャンプは昨年に続いて2回目ですが、
2年目でまた新しい方向性が生まれたように思います。
今後も生徒一人ひとりが探究を深めて、デジタルを活用してこれまでにない
新しいアプローチで課題解決に取り組むことができるように
ワークショップを行っていきます。
今回のワークショップに協力してくださった聖園天使園の冨樫さん、
また会場やこの場を提供してくださった新屋高校の阿部先生をはじめとした
教員の皆様に心から感謝申し上げます。
また、今回のUbDとCBCIのワークショップは
一般社団法人MIEFの津田和男先生から学んだ「探究と表現ワークショップ」を
もとに構成しています。
この学びを提供してくださった一般社団法人MIEFの皆様、
そして津田和男先生にも深く感謝申し上げます。

